コマンドトレーニング
コマンドトレーニンングとは?
コマンドとは、いわゆる命令・指示の事です。(例:おすわり・ふせ・おいで・待て等)
今回はコマンドの種類や教え方、コマンドによる生活の豊かさににフォーカスします。
コマンドの種類は?
- オスワリ:人の前では座って過ごす
- ハウス:クレートやケージに入り吠えずに過ごす
- マット:指定された敷物に乗って過ごす
- ワンツー:指定された場所で排泄する
- ヒール:散歩で人の横について歩く
ムーヴオンで全頭に入れているコマンドトレーニングは上の5項目。
など色々ありますが、犬と暮らしてい人なら一度は教えたことがあると思います。一番多いのは、お手とオスワリでしょうか。
他にはどんなコマンドがある?
- 待て:指定された時間まで動かず過ごす
- ふせ:その場で伏せて過ごす
- おいで:呼ばれたら足元まで来る
- もってこい:指定されたオモチャなどを手元まで持って来る
- オーバー:指定された物を飛ぶ
- ゴロン:目の前でお腹を出す
- バック:後ろ向きのまま下がる
数をあげればキリがありませんが、何でも教えれば良いという訳ではありません。
犬は複雑な事は理解出来ませんので、なるべくシンプルに教えて行きましょう。
コマンドの教え方は?
コマンドを教えるには、まず、3種類の指示を理解する必要があります。
- 指符:指で出す指示(ハンドシグナル)
- 体符:体で出す指示(ボディシグナル)
- 声符:声で出す指示(ボイスシグナル)
コマンドで一番イメージしやすいのは、手をパーにした待て(指符+声符)でしょう。
コマンドを教えるには適切な順番があり、この順序を間違えると中々覚えません。
残念なことに、犬は言葉を理解出来ませんので、誘導ありきとなります。
それに加え、厳密にはもっと細いですが、コマンドは解除(ヨシ!)とワンセットで教えます。
手順1(指示する) | 手順2(犬の反応を形成する) | 手順3(解除する) |
おいで | →足元に来る | →ヨシ |
持って来て | →手元に持って来る | →ヨシ |
オスワリ | →目の前で座る | →ヨシ |
待て | →オスワリを維持 | →ヨシ |
【行動の形成(指符がやりやすい)→出来たらご褒美→ヨシ】この流れを必ず守ってください。
間違ったやり方は、ただただコマンドを連呼するだけ。
これでは1年かかっても何も覚えないケースもあります。
ご褒美を与えるタイミングは状態を見ながらの判断になりますが、基本的には解除する前です。
【ご褒美もらったら終わり】はとても困るので
リードをつけたりして、他に興味を持っていかれないような工夫は必要です。
連続でコマンドをさせ続けると、中々ご褒美が出て来ない!!
と、途中で諦めてしまいますので、諦めるポイントを見極め、必ず諦める前に与えるようにしてください。
コマンドを決める基準
- おいで
- 来い
- カム
- おすわり
- すわれ
- シットダウン
個体差はありますが、多くの個体は数文字、体感としては、2から3文字で判断する子が多くいますので、コマンドを決める場合は3文字まで。長くても4文字以上にならないほうが良いです。
犬はとても賢いもので、細かいことをものすごく見抜きます。
足元に来てもらう「おいで」も、ゆっくりでも来て欲しい時や、ダッシュで戻って来て欲しい時がありますね。
そんな時は、
- おいで=ゆっくり近づいて来る。
- 来い =ダッシュで近づいて来る
目的は一緒でも言葉で使い分けるようにします。
多くのドッグトレーナーさんは、こういう細かい決め事を教えられますので、コマンドをキチンとやろうと思った時は、トレーナーさんの指示を仰ぐのが良いと思います
教えておいた方が良いコマンドは?
必ず教えた方が良いものは、
- ハウス(緊急避難)
- トイレ(健康管理)
この2つ。次点で
- おいで(緊急回避)
- ちょうだい(誤飲防止)
それ以外は、無くても生活に困る事はないと思います。ご自分の生活にどんなコマンドがあれば生活が豊かになるかは、是非お近くのトレーナーさんに相談して楽しい生活を送ってほしいです。
コマンドがもっと上手くなるために
多くの方は「待て」の時だけ「ヨシ!」を使う事が多く、それ以外の時は「ヨシ」を使いません。
犬目線で見てみると(専門的な解釈をすると)
- ご飯を目の前に置かれた時の『待て』と『ヨシ』はご褒美が確約されている
- ご飯が目の前にない『待て』は、『ヨシ』が言われない+ご褒美が確約されていない
こんな図式になっています。
それもあって、<<明らかにご褒美が目の前にある>>「待て」の成功率は比較的高く、そうじゃないものは成功率が極端に低い。
つまり、人から見たら同じ『待て』でも、犬にとってみれば『待て』は何種類もあるという捉え方なわけです。
他には
- 『おいで』は、大抵の失敗しても笑って許してしまう
- 『オスワリ』で「ふせ」をしても許してしまう
- 『持って来て』で持って来なくても笑って許してしまう
こんな感じで『言う事を聞かなくても、なんか笑って見逃してくれる』事が多いので、わざわざ面倒な事をやってまで言う事を聞く必要が無いんです。
ここから逆算すると、コマンドの成功率をあげるためには暴力的に言うと
- どれだけ嫌がっていても、「ヨシ」がかかるまで、強制的にやらせる
- 超面倒でも、望むご褒美が確約されている
この辺りを考えてやっていくと良いと思います。
こんな暴力的に言わなければならないほど、実はコマンドトレーニングはとっても繊細なんです。
犬はご褒美が「ある」「ない」をとても良く見ている
- 単純な事でも、そのご褒美ならやらない
- 超面倒でも、そのご褒美なら頑張る
犬も人が働く理由と全く同じで、コストと対価はと~~~~ってもよく見ています。
ご褒美を使う使わない問題は長い間、討論されていますが、コマンドの目的は、【犬に適切な行動をしてもらう事】なので、目的が達成できるなら、どっちでも良いです。
が、やはり倫理的にフェアな関係を維持できるものが良いですね。
面倒な事、好きな事を中断させてまで、制御しようとする時、どんな対価なら愛犬は満足しますか?
コマンドは犬をロボットに変えてしまう?
犬はコマンドをどこまで緻密に出来るかを数年かけて初代看板犬(ムーヴ)で試した事があり、結果として、すべて指示待ちになってしまった時代があります。
- トイレの指示がない限り、排泄をしない
- おいでの指示がない限り、近くに寄って来ない
- ヨシの指示がない限り、ご飯を食べない
- ヨシの指示がない限り、散歩で歩かない
- 拾えの指示がない限り、おもちゃを咥えない
皆さんは、この犬と暮らしたいですか?
見る人によっては、とても良い子に見えるかもしれません。
実際、たくさんの飼い主様に「とても良い子ですね」と褒められました。
ただ、これは犬ではなく、これではただのロボットです。
暮らしにくいったらありゃしないし、何より犬らしさは0でした。
なので、褒められる度、私は苦しくて苦しくて。
この頃からです、犬へのしつけ(特にコマンド)は必要最低限で良いと思ったのは。
コマンドを教えるなら愛犬がロボットにならぬよう、経験豊富なトレーナーさんの指示を仰ぎましょうね。
コマンドをちゃんと覚えたい時は
普段の生活でのしつけはもちろん大切です。
ただ、コマンド以上に、マナーや普段のコミュニケーションの方がよっぽど大事です。
コマンドをちゃんと覚えたい時は、できればドッグスポーツが得意なトレーナーさんの指示を仰ぐのが良いです。
私たちもご来店でもオンラインでもサポートできますので、コマンドをちゃんとやりたいと言う方は、ぜひDM等いただければ対応致します。
ただ、コマンドトレーニングよりも、人や犬に吠えない、噛まない犬にするマナーを教えた方が暮らしやすくなるのは間違いないので、コマンドよりも先にマナーを覚えよう!と言う事だけ覚えててもらったら嬉しいです。